日  程 2002年12月27日〜2003年1月3日
地  域 タイ・プラナン クライミングツアー
メンバー 石澤(GAZ)・河野(記録) 画像はこちら

◇12/27   ◇12/28   ◇12/29   ◇12/30   ◇12/31   ◇1/1   ◇1/2   ◇1/3 


12月27日

第1日目 ―― プラナンクライミングツアー出発日

タイの南部に海辺でリゾートしながらクライミング三昧できる楽園があるらしい。

学生時代からタイには特別の思い入れのある小生にとって、その上フリーが出来るとあれば何が何でも行かねばなるまい。今年は絶対行くぞと決めて、航空券等の手配を始めたのが6月。あまりにも先の話しだな〜と暢気に構えていたが、いつのまにやらもう出発日だ。

今回ご一緒するのは、京都の石澤さん。小生よりも20歳以上年上の女性だが、クライミングに対するモチベーションはスゴイ。背丈も同じくらいで、とても華奢な上にベリーショートのカッコイイ先生だ。後ろ姿は少年そのもの、髪型のせいで聖職の方に間違えられることもあるとか。そういえば、一緒に組んで登ったのは先週のクラックスだけだが、いいパートナーになりそうだった。以前は突撃特攻隊長だったけれど、怪我をされてからは慎重に登っているとのこと。女性2人(…のはず)で気楽にのんびり行きましょう。

深夜の関空。いつのも喧噪が嘘のようにひっそりしている。我々の搭乗便が残された最後のフライトだった。
日頃の超寝不足のお陰で超熟睡、あっというまにバンコク着。あづいあづいあづい〜!さっきまで真冬の格好だった石澤さん、早くもタンクトップ姿に。クラビへは直接トランジットできないので、バンコクで入国し、手荷物をピックアップしてから国内線へバスで移動する。

クラビへのフライトは白人ばかり――いかにもリゾート客ばかりだ。日本人がいないのはちょっと意外。
1時間強のフライトでクラビ空港へ到着、出口でさくら(クラビのツーリスト)からのタクシーが待っていた。20分ほどでクラビタウンへ。

さくらでツーリスト主人の由佳子さんと対面。しばらく話をして今晩の宿、タイホテルにチェックイン。
本日はクラビからライレイ(プラナンは岬全体を指し、現地ではライレイというのが一般的)へ往復する。実は出発1週間ほど前、石澤さんに出発日を間違えて伝えていたことが発覚(ごめんなさいっ!)、直前ではライレイバンガローがとれず、クラビの宿をとったのであった。

ライレイへは舟でのアプローチとなる。船着き場では「ライレイライレイ」と客引きのにいちゃんが呼び込み。6人が集まれば出発とガイドに書いてあったが、10人になるまで待たされ、出発まで1時間あまりかかった。

舟は50分でライレイベイに到着。干潮時のため沖で舟を下り、じゃぶじゃぶと歩いて上陸する。水は思ったより透明度がなく、ぬるい。浜辺のすぐ近くに岩場があって登っているのが見える。

明日から宿泊予定のライレイベイでまず腹ごしらえ。が、注文してからなかなか出てこない。空腹が限界に達しつつある石澤さんは、ウェイターのにいちゃんを喰わんばかりであったが、ここは異次元ライレイだ。何事もマイペンライでのんびり待つしかない。待った甲斐があって旨かった!ちなみに小生タイ飯フリークで、時折タイ料理が無性に恋しくなる。そんな時は兎我野町のまみへ。辛さも半端じゃないし、めちゃくちゃ旨い。今回、毎日タイ料理が食べられるなんて、もうカンゲキっ…。(←単細胞)

さて本題へ。本日は夜行明け&日帰りなので、一番近い岩場へ行く。

One-Two-Three

噂では聞いていたが、これほどの人数が岩場にひしめいているとは…。姫路の小赤壁にはりつくフナムシのごとく。講習会でルート中TRのすだれ状態。面白そうなルートは全然空く様子もなく、仕方ないので左端の空いているルートに取り付く。

■Seelee 6A OS
★なしだけど、記念すべき1本目のルート…なんだけど、どんなとこだったか思い出せないのはなぜだ?!

■We Sad 6A+ ★★★ OS
コルネを使って登っていく面白そうなルート。どうせ他も空かないのでTRが終わるまでずっと辛抱して待っていた。あと一人というところになってからが長かった…。チビには出だしが核心。最初のホールドにぜーんぜん届かないので、結局石澤さんの膝をかしてもらった。あとは楽しいルート。

もう17時。今日は2本だけで終わり。帰りの舟もなかなか人が集まらず、結局18時の時点で定員を待たず舟を出してくれた。待っている間、船乗りにいちゃんのシャーク君とおしゃべり。日本語で「美人」を知っていたので「オトコマエ」を教えてあげて、2人で「オトコマエシャーク」とはやすと照れていた。かわいいなあ。

クラビへ戻り、船着き場近くの屋台で晩飯。とりあえず乾杯!


12月28日

第2日目--ライレイピットイン

7時起床。朝ご飯を食べに行くついでに、モーニングマーケットに立ち寄る。屋台の集合体で、タイのあらゆる食材をはじめ衣服、靴など何でも揃っている。モノと人であふれかえり、タイ料理独特の臭いがたちこめ、すごい活気だ。食事が出来るところや、お持ち帰りの出来る屋台も沢山ある。見ているだけで面白い。

食事はパン屋(←タイはやはり米文化。パンはイマイチです)で済ませて宿にもどり、チェックアウトしていざライレイへ。
また船乗り場でぼーっと定員待ち。マイペンライ、のんびり行こう…。

11時頃、ライレイ到着。要らない荷物をフロントに預け、岩場へ出発。
今日はハタネーから眺望が素晴らしいと聞いているThe Keepへ。昨日行った1-2-3の奥へ進み、山の方への踏み後を辿り、幾つか岩場を越えて行く。当初Duncan's Bootにも寄ろうと思っていたが、何だかすっきりしない岩場で、タイにきてわざわざここを登らなくても、という雰囲気だったので素通り。
Keepに着く直前はFIXロープを降りることになるが、慣れないとコワイかも。
岩場には先行1パーティーがいるのみ。静かだ。

ちなみに岩場のトポは「KING CLIMBERS」の第4版(02年度発行)。グレードはFrench方式なんで、全く馴染みがない。
しかも第4版の裏表紙にあるべき国際グレード比較表が載っていない。本文には、バックカバーにあるって書いているんだけど…。

注:補足ですが、この日記記載のルートグレード及び★数は、上記トポを使っています。
   ネットで調べたら、
   6a      6a+    6b      6b+    6c      6c+    7a     7a+ …
  5.10b  5.10c  5.10d  5.11a  5.11b  5.11c  5.11d  5.12a …
   とありましたが、実際のところはかなり前後で幅があり、体感グレードも色々なのであまり参考にならないかも。

◎The Keep

■Monkey's Bum 6B OS
終了点で後を振り返ると…!!!思わず歓喜の叫び声!!!めちゃめちゃ綺麗!!!
下からは木で景色があまり見えないが、上では素晴らしい眺望が待っていた。ハタネーが言ってたのはこれなのね〜カンゲキっ!

■Babo Does Thailand 6C ★★★ OS
28mのながーいながーいルート。ボルト4〜5本目辺りが細かくてつらし。
登っても登ってもまだある〜。ガバは多いです。

■Medusa's Lover 6C ★★★ FL
石澤さん、マスターでトライ。下部を楽にこなされが、上部でテンションが入ってしまった。下部はガバばっかりだよ〜とのことだったが、結構厳しかったし、上部はヌンチャクがかかってなかったら、一発では行けなかっただろう。石澤さんに感謝。

■Nut Cracker 6C ★★★ OS
下部は右上気味に登り、中間部で右へトラバース…
このトラバースが絶妙。ホールドも乏しく、かなり厳しい。バランスをとるために顎まで使って(おお5点支持…)そろりそろり。きわどい体制でつんつんになってヌンチャクをかけにいくと、DMMのカラビナではゲートが開かない!くそーっ!失敗だらけのギア選びにリストアップしてやる!!ペツルでクリア。でやっと右の壁に移れたらまた核心が待っていた。届かない。他にホールドもスタンスもない。ううデッドしかない。きっと止まる…落ちてもいいわいえいっ…お、止まったあ!本日三ツ星6Cの三ツ目1撃。えへ。v(^^)v
体感ではこのルートが一番ムズくかつ面白く感じた。

ライレイ初めての夜は、前回石澤さんが毎日通ったというCOCOへ。ソムタム(青パパイヤのサラダ)とグリーンカレーがおいてなく残念。ヤムウンセン(春雨サラダ)がうまし。

帰りにCLIFMAN SHOPに寄ってタンクトップを買った。そんな格好で登ったことないけど、腕太いし恥ずかしーなんて言ってられない。とにかく昼間は半袖が暑くて暑くて我慢できないのだ。ホントは裸族になりたいくらい。
…ここライレイは海辺のリゾートというだけあって、露出度がとっても高い。グラマーが多いのは当然としても、わお、と思うほど太い人でも平気でビキニを着ている。毎日そういう人を見ていると、自分も脱いじゃえ〜って気分になる。
今回半袖と長ズボンを何着も持ってきたけど、大失敗だった。タンクトップ(ハーフトップならなおヨシ!)と短パンでOKだし、本当に気にならない環境だ。ハーフトップになれる自信があればいいんですけど、いかんせん、ね、ほら。


12月29日

第3日目

今日は前回からの石澤さん課題があるDam’s Kitchenへ。ライレイイーストの浜辺をさくさく右端まで歩き、FIXロープのある小道を辿るとトンサイベイへ行き着く。アップダウンあり、たっぷり汗をかく。あづいあづいあづい。

◎Dam’s Kitchen

■ Pahn Taalod  6A  OS
この岩場では一番易しいルート。出だしでいきなり核心。大きな石を2つ積んでスタートできた。中間部にあるハング上のガバは下から見えないので取りにいきにくいし、その後左へトラバースして終了点に向かう所も結構イヤらしい。

■Lion King  6C+ ★★★ RP
石澤さんが出発前から登りたいとおっしゃっていたルート。なるほど、下部はガバ、中間部はアンダーフレークのトラバース、上部はカチの面白そうなルートだ。昨日のNestに比べると、長さが短い分、ムーブも難しいかな。

登りたいなあと見ていたら、日本人のおじさんが「もう7年くらい昔かなあ、トラバースまでガバで楽勝やんって登ったら、上の小さいホールドが持てなくてね〜、大フォールしてから登ってないわ。上が厳しいよ。」と教えてくれた。確かに最後ランナウトするし、イヤやなあ。終了点まで行けるやろか…。まあヌンチャク掛けに行きますわ〜。

1回目、トラバースへ突入し…??あれーっスタンス全然ないやんっと思ったところでつるっとフォール。…しょぼい。ここのトラバース、ほんとにスタンスがなくて壁はつるつるで厳しい。上部は意外にも簡単に解決。石澤さんTRで登るが、やはりトラバースに手間取る。
2回目、トラバースでちょっとでもましな足場を探しているうちにパンプ。…しょぼい。スタンスをきっちり確認。これで行けるかは自信なし…厳しい。前回、奥村さんがTRをかけに行かれた時は、何と運動靴で登られたそうな…シンジラレナーイ!ま、奥村さんなら当然か。で、それを見ていた外人さんがあんびりーばぶる、あめーじんぐ、みっしょんいんぽっしぶると言ったかどうだか、奴は何者だ?!と驚愕するその人に、石澤さんがトポの某頁を見せ、ここの開拓者で日本で一番上手い人だよ、って教えたところ、その靴記念に売ってくれ〜と1000Bで買っていったそうだ。
さて石澤さん、今度はリードするも、やはり同じところで行き詰まる。
3回目、トラバースも何とか切り抜け、十分レスト。上部につっこむが、一度体が剥がされるところでの踏ん張りで指にきてしまい、あと2手を残して左手カチを保持できず、無念のフォール。あああ。また登らないとあかんのかと、かなりブルー。上部のカチは、持つ向きによって効き方が随分変わるので、しっかり確認。よし今度こそ。

下に降りたら、自分のことで必死だったので気付かなかったが、6Bのルートを登っていたおにいちゃんが4本目のボルトからたぐり落ちグランドフォールされたそうだ。我々も十分気を付けねば。

水もないし、しばし売店まで散歩し、大休止。気合いを入れ直して、4回目のトライでRP。上部に入る前に十分過ぎるほどレストすることと、カチの持ち方(指の入れ具合)がポイントか。上部は指の細い女性の方が得なのかも。石澤さんはトラバースが解決ならず、また次回のお楽しみとなった。

ここはとにかく暑くて、登っている間に汗が噴き出し、手はぬちゃ手でなんぼチョークアップしてもすぐぬめぬめになる。1Lの水はアッという間に飲み干してしまう。夏は沢やで、小川山やで〜と、こんな状況下でフリーをしたことがないので、かなりつらいものがある。

午後からは、京都の栗原さんお薦めのNewエリアThe Nestへ行くことにした。

◎The Nest

トンサイベイの端まで歩き、お店の並んだ道をライレイ方面へ歩く。ぽくぽく行くと、看板がちゃんと出ていて迷うことなく岩場へ到着。山の中になるので、蚊取り線香必携!ここは6台が充実している。まだ開拓途中なのか、電動ドリルでボルト打ちをしている3人組、ボルトの位置を巡ってかなり汚い罵りあいを繰り広げている。

■ Tecno-Bug 6A  FL
終了点ホールドがなくて、嫌な感じ。

■ Bababa Hammock 6A+ OS
先に登っていたにいちゃんが、しきりにいいルートだから登れと勧めてくれた。最新トポよりも更にずっと上へ終了点が伸びているので、ヌンチャク数は倍あった方がいい。下部でイヤらしい所を何とか切り抜け、上部の新しい伸びた部分へ。ここがジャングルジムみたいで楽しい!!確かににいちゃんの言う通りだった。

今日は午後からずっと雲行きが怪しい。何とか天気はもったが、これからが心配…。


12月30日

第4日目 − レスト日

昨晩から土砂降りの雨。朝7時になっても止まない。8時にもそもそ起きるとやっと止んだ。どうせ岩も濡れているし、腕も筋肉痛なので、本日はレスト日とする。

顔を洗ったりしていると、一人の白人さんが訪ねてきた。「ワタシは、斜め向かいのバンガローにいるモノです。日本人のトモダチがお腹が痛くて寝ています。セイロガンありませんか?」「?ああ、正露丸ね〜」こんな所で外人さんから正露丸という言葉が出てくるとは。持っているのは糖衣じゃなくて、臭い現物。小分けにもできないし、持分全部渡す。自分はお腹こわさないことを願って…。

さて何すべかと朝食後にツアーデスクに寄ったが、既にピピ島への舟は出発済みだったので、とりあえずクラビへ出てさくらで相談することにした。

さくらに着いたのが11時半頃、ピピ島へは午後便があるが帰りの便がないので諦める。オンナ2人暇つぶしといえば、マッサージとショッピングだ。お迎えのトゥクトゥク付きワットポー式タイマッサージ、2時間400B也。以前バンコクのタイマッサージでごっつい痛かったのでちと心配だったが、今回はオイルの全身マッサージで涎モノの至福のひとときであった。

昼食後、タイシルクの店へ。この前泊まったホテルの近くで、可愛いワンピが気になってはいたが、石澤さんはもっと興味があったらしい。サマードレスを作りたいそうだ。
店の主人のJABANさん。商売上手でおしゃべりで楽しい。私自身買うつもりは全然ない。「安くしまっせ、2人で買ったらもっとまけるで、さあどれにする?」「我々は同じアジア人ね、タイと日本は仲良しね、欧米人とは違うんだからまけとくよ、さあどれにする?」 おっちゃん、分かったから落ち着け。
石澤さん、おっちゃんにカタログを色々見せてもらうがなかなか希望するドレスが見つからない。で、ディスプレイの緑のワンピを試着してみることに。はっきり言って全然似合わない(←失礼)。ついでに私も試着させてもらった。はっきり言ってかなり可愛い(←厚かましい)。店の人も「キレイ、キレイ」と日本語ではやしたて、おっちゃんちゃっちゃと寸歩を測る。サイズは体に合うよう仕立て直してくれるそうだ。んー買っちゃおっかな〜値段は?何?3000Bとな?さっき2000って言っただろう?2500?じゃ買わないって。おっちゃん、 同じアジア人だろ〜?…2000Bで商談成立。タイシルクでこのお値段、お買得?!
さて、石澤さん。生地を選んで一からお仕立てしてもらうことになった。薄いブラウンで金の刺繍の入った非常に素敵な生地を選ばれた。ちゃっちゃとサイズを測り、ドレスのイメージを伝え、さてお値段。4500とな?何?高いぞよ、3000にまけて。…押し問答の末、3900Bで成立。お仕立て後の2日が楽しみだ。

あとはお土産屋さんを物色して、夕方ライレイへ戻る。

本日の夕食はYaYaへ。ヤムウンセンは生野菜たっぷりなので大事をとって我慢する。生水が飲めない所では、生野菜も控えた方がお腹にとってはいい。石澤さんはパイナップルフリッターが大好きだ。毎回注文されるが、同じお菓子でもお店によって少しずつ違う。ディップがはちみつだったり練乳だったり、衣がふわふわだったりさくさくだったり。お腹いっぱいでも、まだ食べちゃうんですよね、ついつい。


12月31日

第5日目 ――大晦日 02年登り納め

夜中からまた無常の雨。朝になってもまだ止まなかった。うらめしや。
一応あがってから、今日もトンサイ方面へ。
Dum’s Kitchenの奥がTon Sai Bayだ。すごいハングの張り出しで高グレードが多く、世界中からのトップクライマーが腕を競うエリア。
こんな中にも6A+の三ツ星がある。到着した時はまだ満潮で足下は海の中だったので、潮がある程度ひくまでのんびり。そこにいたにいちゃんに、どれがそのルートが教えてもらった。にいちゃんはその後、そこをフリーソロしていた。げげ。
潮が引いてきたので、私から行かせてもらった。

■ Stalagasaurus 6A+  ★★★  OS
巨大コルネを駆使して立体的に登るユニークなルート。壁とコルネをうねうねしながら登る。こりゃ面白いわ。石澤さんをビレイしている間にわっさわっさと人が集まり、整理券がいるほどの順番待ちになった。大人気ルートのようだ。

隣でP常連さんチームが7A+のルートをトライされている。折角ヌンチャクも掛かっているし、厚かましくも触らせてもらうことに。今日はレストの日のはずのI嬢、見てたら登りたくなったのだろう、彼女もトライ。テンションが入っているけど完登。
で、自分の番。トライしてみたものの、まず1本目までで行きつ戻りつ、コワイやんかっ。何とか1本目にクリップしたが、次のホールドがと〜ど〜かない〜。あーじゃこーじゃやっても触るのは触れるけど、アンダーで効かせるホールドなので触るだけじゃどうにもならん。見かねたI嬢、私はあそこに足置いたよ、私の身長でぎりぎりだけど、とフットホールドを教えてくれた(ありがとうございます)。彼女は161cmで手足が長い。小生はチビで短足。せっかく教えてもらったのに、やっぱアンダーの体制にもっていけなくて、すごすご1本目敗退(涙)。ぐやじい。このルート、ガバばっかりでOS向きって書いてあったし、確かに下から見たらそうなんですよね。ちぇ。
(後日談。先日PでI嬢に会うと、翌日すんなりRPできたそうだ。恐れ入ります!)

その隣の7Aにもトライしたかったのだが、全然空かないし、空く様子もない。こちらもOS向きらしいけど、ここをRPしたP常連君によるとリーチいるかも、とのこと。ちぇ。何でえ。でかい外人ばっかでさ。ちぇ。1本目もどれも遠いしさ。

ここにいても埒があかないので、Fire Wallへ移動する。トンサイベイの端まで歩き、そこから見える一番最初の壁だ。空は一段とどんよりし、今にも一雨きそうだ。
急坂を登ると1パーティーしかいない。ここには4つ星の6Aがあり、是非とも登りたいと思っていた。

◎Fire Wall

■ The Groove Tube  6A  ★★★★ OS
竹をスパンと半分に割ったようなルート。ホールドは全て近くてガバガバルンルンルート。このグレードでこの長さ、嬉しいなあ…と登っていると終了点近くで雨が降ってき た。っげ。きつくなってきた。っげげ。
アンカーまで登り、急いで回収。隣のチームは更に大変だったようだ。ビレイヤーともずぶぬれになっている。彼らはスウェーデンとフィンランドから来たそうだ。しばらく雨宿りしていたが、止みそうになかったので、雨の中下山していった。
我々は恨めしげに空を見つつ止むのを待つ。小降りになった時に、隣のMelting Wallを偵察に。ここはお化けのような巨大コルネがある気味の悪いエリアだ。しばし見物後、Fire Wallへ戻るがルートが濡れてしまっており登れる状態にない。惜しみつつ下山――これが難儀で大変だった!ここの土は赤く非常に細かい粒子で、一旦雨が降ると粘土状になって悲惨な状態になる。「赤土地獄」を称したその道を苦労してどろどろになって降りる。

今日は全然登れてない。石澤さんはお腹の調子もよくなく、今日は最初の1本を登られたただけだ。トンサイまで戻ったが、お目当てのルートはまだ空いていない。石澤さんはそのままどんどん帰っていく。雨のばかやろ〜登りたら〜んと思っていたら、途中で足を止め、私は調子悪いから登らないけど、ビレイならできるから登っていいよ、と言ってくれた。えホント?じゃあ厚かましいけど、とトポを広げる。
ちょうど帰り道にあたる壁を登ることにした。

◎Dum's Kitchen

■ The Sit Spins  6B+ OS
このエリア一番右のルート。最初右にどんどんトラバースし、クラック沿いに直上していく。下から見る限り、あれってフィンガークラックちゃうん?(汗)でも登ってみるべし。実際登ると、クラックではなくフレークで面白かった。★があってもおかしくないルート。

◎Tyrorean Wall

Dum's Kitchenからライレイへ帰る途中、あら、ここにも壁が、という所に実は手頃なルートが幾つかある。かぶり系でなないが、面白そうなルートがあり、1本だけ触ってみた。

■ Kuahtittnseppl 6C+ ★ RP
OSは逃すも、2撃でRP。核心でパンプしてやばかった。しかも違うムーブだし。
Lion Kingと同じグレードとは思えない。お買得。

他にも面白そうなルートがあったので、また後日来ることに。石澤さんに感謝して帰る。

さてと今日は大晦日。今日はバンガロー主催の大晦日年忘れ行く年来る年イベント・ガラパーティーなるものがあるのだ。ビュッフェの食事とタイダンス、ムイタイボクシングなんかあるらしい。

会場の入り口で蘭の花輪を首にかけてもらった。可愛い。色んなタイ料理などのビュッフェがあり、パーティーが始まる。会場は波際ビーチの上だ。と、だんだん波が寄せてくる。寄せてくる。寄ってくる…わー、波がきた〜。一番端の列のテーブルのお客さん、テーブルごと避難。我々のテーブルにも接近してくる…わー、蚊取り線香が流されるーっ。わわー、雨まで降ってきた、わー、波が、わー、雨が、、、、もう帰ろう。
食べるだけ食べたので、まだ20時だけどおばちゃん2人組は帰ってしまった。

ええい、また雨かよ…。いい加減にしてくれ。今は乾期やで〜っ!明日は晴れますように。


1月1日

第6日 -- 元旦 03年初登り

あけましておめでとうございます。
石澤さんは今日この元旦初登りのために、特製ウェアを持ってこられた。前回タイで買われた、パープルとブルー地のきらきら光るタンクトップだ。
肩はリボンになっていてきゅっと結ぶ。とっても可愛い。

タイは4月が本当のお正月でソンクランという水かけ祭りが有名だ。西洋の習慣にあわせて1月1日は祝日になったらしい。Happy New Year!とかけ声はかけるが、いつもと代わり映えのない朝食ビュッフェでちょっと残念。

石澤さん、大事をとって昨日はおとなしくされていた甲斐あって、今日は朝から絶好調。眺望いいときいているハタネーお薦めのEscher Worldへ行くことにした。

◎ Escher World

1-2-3へ行く途中から5つ星ホテル(←ガードがっちりで中は伺えず。一泊幾らなのかめちゃ気になるわ〜)の脇の小道を抜けるとプラナンビーチへ行き着く。まだ観光客もいなくて、静かで綺麗なビーチだ。
ビーチの端まで歩いて笹が脇に生えた踏み後を辿ると岩場に到着。
トポには午後のエリアにマークがついているが、結局1日中日が当たって暑い暑い暑〜い岩場。でも高台になって景色のいいエリアだ。

■ Short & Easy  ★★ 5  FL 
名前の通りのルートだけど、楽しい。

■ Freedom Of A Friend  ★★★★  7A+ 未RP
7aすら触っていないのに、4つ星の7a+があるので、せっかくだからトライすることにした。終了点は遙かかなたで見えない。長いということは各駅停車なら終了点まで行けるかも…。スタートもビレイも大岩の上から。1本目が少し遠い。ということは、もし落ちたらこの大岩もすっとばしてグランドフォールしてしまう。1本目までは慎重に慎重を期して取り付く。

1本目をクリップ、はあ、緊張した。さて、そこから中間部までは、結構ガバでテンションを入れつつもつながる。途中、ロワーダウン用にアンカーがある。次のクリップはA0で行けたが、更にその上のクリップがムズイ。お助けスリングがぶら下がっているが、そこにさえクリップできる体制へ持っていけない。スリングにA0したくても届かない。辛うじてスリングの結び目から下の端っこ1本に片手でぶら下がった。ひええええ〜ぬ、ぬけるうう〜辛うじてクリップ。
…この中間アンカーからクリップ2本分が核心だ。特にスリングがかかっている方はクリップホールドが見つからない。困った。長めのヌンチャクにして、下からクリップしていけるだろうか。解決せぬまま、とりあえず終了点を目指す。そこから左の壁にでて、ミニハングを乗り越して最上部へ。やっと終了点が見えたが、まだまだある(涙)。こりゃ最後まで忍耐と精神力のいるルートだ。とりあえず、最後のアンカーへ。長くて充実したルートだった。

次に石澤さんがトライ。下部はあれっというくらい軽くこなされる。そんな簡単やなかったよなあ…あたし各停で行ったんやけど…。核心のところでは何回かトライされたが、そのまま降りてこられた。選手交代してもう一度登ってみる。
核心まではなかなか楽しい。長めにしたヌンチャクで、下からクリップしてみたが、クリップだけでパワーを使ってしまい、核心のムーブができなくなる。これじゃ全く歯が立たん。ハングドックさせてもらって色々やったけど希望の光が見えな〜いよ〜。とりあえずまた何とか終了点までいって降りてきた。

一番暑い時刻、長い長いルート、喉はからから頭はくらくら、熱射病になりそうだ。暑くて暑くてたまらない。全身から汗がどっぷり噴き出して、体中がドロドロだ。とても限界のトライをしようという気になれない。
ヘロヘロなので、夕方少しは涼しくなってから回収することにする。

水も残り僅かだしお腹もへったことだし、せっかくなのでプラナンビーチへ遊びに行くことにする。とうとう水着の出番♪今日のこの晴れ舞台のために水着を新調したんですよ、しかもセパレートでパレオつき、ムネの辺りがスカスカするのはさておき可愛いもんね〜。

水着なんて何年ぶりだろう!と岩場で着替え(誰もいませんでした)ランラランとビーチに出かけたのはよかったが。

ん、何だか雲行きが急に怪しくなってきた。あれ、海の向こうは確実に雨だ。迫ってくる迫ってくる、わー、どっちゃー。写真を数枚撮ったところでどしゃぶりに。とにかく飲み物だけ買って、急いで岩場に戻って雨宿り。何でやねん…。おにゅうの水着が一度も海に入る間もなく…。
この岩場は右の方が大きな広い洞窟のようになっていて、雨が全くあたらない。そこで雨宿りをしつつ、せっかくなので、そこにあるルートを登ることにした。

■As Far As Siam 6A+  ★ FL
これ本当に6A+ですか、て唸るほどまじでやばかった。2番手でよかったです〜。石澤先生ありがとうです〜。

■Mekhong Crazy 6A+  ★ 未RP
ランナーが全部スリングロープのルート。ぽこぽこ空いた穴にスリングが結ばれている。いかいにも石灰岩ルート。スタートホールドがない。??どうも、いきなりマントルでスタート。これも本当に6A+ですかね。えらい辛い。雨のせいかホールドが湿っぽく、足がかなり滑る。最後、上のテラスに乗りあがるところで、鋭いフレークを持ったまま足が滑りフォール。フレークで指を切ってしまい、そのままロワーダウンした。石澤さん、滑る滑るといいつつ見事FL。

さて回収に行かねば。行くからには一応狙っていくことにした。中間アンカー付近で十分レストし、次のクリップをしようとしたところ、トゥフックがはずれて大フォール。核心の手前、ここで落ちる予定はなかったのに(涙)。岩が欠けて落ちてきた、とのことだったので、爪先を引っかけていた岩が折れてしまったのかも…。このムーブ、初めて試したら効いたのでいけると思ったのですが…。かなり落ちたが、石澤さんがしっかり止めてくれた。心から感謝。手首を打ったようで、でかい血豆ができたがそれくらいで済んだ。
すっかり意気消沈し、あとは完全回収モード。終了点についた頃には夕暮れが始まりつつあった。
いつかまた、もっと上手くなってここを登りに来るぞと胸に秘め、岩場を後にする。

雨上がり夕焼けのビーチはただただ綺麗の一言。最後にこの素晴らしい景色を見れて本当によかった。

夜は昨日おいしかったYaYaへ。ライレイでの最後の晩餐。最後だし、お腹こわしてもいいや!とヤムウンセンも注文。総合的に見て、一番最初のCOCOのが一番美味しかったかな。


1月2日

第7日 ―― プラナン最終日

ライレイ最終日。最後は再びTyrorean wallへ。

◎ Tyrorean Wall

■Longes Feschtl  6B  ★ 未RP
準備をしていたら、いかにも上手そうなフランス人3人組が来た。すぐ終わりそうな雰囲気だったので、先に行ってもらう。一人目はさくっといったが、後の2人がかなり手こずっていてなかなか順番が回ってこない。暇だし1本目が遠いので、プリクリの準備をしていたら、ラストのおねえちゃんがヌンチャクを掛けてくれた。
実際登ってみると、先の2人が行き詰まっていたところで、同じように行き詰まる。あや?下から見たらガバに見えるホールドが全て期待を裏切る甘々で、色んなホールドにチョークがついているがどれもあまい。そのうちパンプしてしまってテンション。石澤さんも私ももう1回ずつトライしたが、やはり同じ所で???となり、RPならず。

■Missing Snow 6B+ ★★ RP
これも面白そうなルートで、順番待ちをしてトライ。出だしがハングで届かない可能性あり、1本目をプリクリする。ボルトの穴の向きが??な箇所が幾つかあってヌンチャクが掛けにくかった。OSはできなかったが、2回目でRP。出だし以外は垂壁で、ムーブも楽しく面白いルートで、今回登った全てのルートの中でもお薦めの1本。

私が終了点につく頃に、スコールのような雨が降ってきた。もう毎日雨ばかり。ここはルートの上にかぶった壁があるので直接雨はあたらないが、もう登れない。雨宿りするが一向に止まず、仕方なしに大雨の中を撤退。途中の山道は赤土地獄となり、道が滝のようになって泥だらけになった。

とぼとぼとライレイベイに戻り、しばし温かい飲み物で一息ついてから帰り支度をしてライレイを出発。いつも笑顔で迎えてくれたバンガローのおねえちゃんに、また来るからね、と約束して…。

もう帰るのか…。長いようで早かった。毎日よく笑い楽しかった。
クライミングだけの1週間。こんな贅沢な毎日は初めての経験だった。

クラビへもどり、夜は屋台へ。混んでる屋台がうまいはず、という鉄則の元選んだ店は大正解。最後の夜にふさわしく何を食べても旨かった。

例のJABANさんのいる服屋へ。早速我々のドレスを試着した。2人とも体にジャストフィット、これ以上絶対太れない。
石澤さんのお仕立てドレスはとても素敵だった。


1月3日

第8日目 -- 帰国、再び雨

翌朝、ホテルで頼んだタクシー(実際は宿のおじさんが運転してくれた)で空港へ。
バンコクで乗り継ぎ、夜関空につくと、冷たい雨が降っていた。

☆☆☆
最後に、この場をお借りして、お世話になった石澤さんにお礼を申し上げたい。
よくぞこんなワタクシに異国の地までつきあって下さいました!本当に楽しい8日間でした。
私も50歳を過ぎても格好良く登れる、素敵なおばさんになりたいな。(んー、もう十分オバハンかあ)

そして、この駄文日記を根気よく最後まで読んで下さった方、どうもありがとうございました。


-THE END-

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